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Anywhere, Anytime

シリコンバレーのベンチャーキャピタリストのお話を聞いてきました。(日本で)

 しばらく更新できておりませんでしたが、時間に余裕が出て参りましたのでこれからは定期的に更新していきたいと思います。さて、今回はFenox Venture CapitalのCEOであるアニス・ウッザマン氏のお話を聞いてきたので、その内容について書きたいとおもいます。テーマはイノベーションの本質。内容は主に、シリコンバレー(アメリカ)を例に出しながら、日本企業・社会が今後どういったことを行っていくべきか、といったものでした。

 ここでアニス・ウッザマン氏の経歴を少し。東京工業大学工学部開発システム工学科卒業。オクラホマ州立大学工学部電気情報工学専攻にて修士東京都立大学(現・首都大学東京)工学部情報通信学科にて博士を取得。IBMなどを経て、VCを設立。主に初期投資とファイナルラウンドを専門とし、全世界のインターネット、ソフトウェア開発、リテイル関連をメインとした投資を行っている。これまでに30篇以上の学術論文を執筆、世界中で各種のセミナーなどで講師として招かれている。(参考:shake100イベントホームページ

 

では、本題に入っていきます。アニスさんは、まずアメリカと日本のGDPから、日本経済が悪化していることについて話し、なぜグローバル市場で苦戦しているのか。といったことについて、大きく3つの点を挙げました。

 

イノベーションの不足

・グローバリゼーションの不足

ローカライズの不足

 

 この3つです。イノベーションの不足とは、革新領域での売上げが少ないとのこと。このことは良く言わますね。

 そしてグローバリゼーションの不足についてアニスさんは、取締役の構成比を例に出し、話していました。世界で第一位のPCベンダーであるレノボは自国民の取締役58%であるのに対し、日立、富士通パナソニックは日本人が100%である点について述べ、グローバリゼーションの不足を説明していました。

 ローカライズの不足については、日本企業が海外に支社をつくる時のことを話していました。日本企業は海外に支社をつくる際、駐在員をトップとして送る。そのことがダメであると。支社をつくる際は、トップリーダーはその国・地域の人にすべきとのこと。まずはその国の人がその国のことを一番分かっていると信じてあげなければいけないということですね。現地採用と本社採用でキャリアパスが違う点にも言及していました。

 

次に、アメリカでなぜ次々とイノベーションが起こるのか。について。
アニスさんはアメリカが世界大国になる4つの要素をお話されました。
4つの要素とは、

  • テクノロジー    :シリコンバレー
  • ファイナンス    :ウォールストリート
  • エンターテインメント:ハリウッド
  • 高等教育      :名門大学

である。確かに、この4つはアメリカを語る上では欠かせないと思います。本講演では、アニスさんはテクノロジーについてお話されていました。以下でテクノロジーについて書いていきたいと思います。

シリコンバレー。この地域はおおよそサンフランシスコ〜サンノゼまでの地域を指してこう呼ばれます。ここでは、毎年1万2000社が生まれ、8000社がつぶれるそう。すさまじい数ですね。日本でも企業の新陳代謝が注目されるようになっていますね。今後に注目です。

さて、アニスさんはアメリカにおいて幼いころからの家庭の教育等から起業家精神が育まれるといったお話をされていました。 

アメリカの家庭では、夏休み親が子供に20ドル与える。そして、その20ドルを使って子供達は材料を買い、ジュースを作り、そしてお小遣いを稼ぐ。イメージとしては日本のお祭りの屋台のようなものであろう。しかし、日本とは違う。日本ではお手伝いレベルであれば子供が手伝うことはあるだろうが、自ら考え、プロダクトをつくり、販売するといったことはしないだろう。時にはジュースなどがつくれなかったり、つくっても売れなかったり失敗があるかもしれない。しかし、この若い時からチャレンジすることが重要なのである。こうして、若い頃から起業家精神が育まれるのでしょう。「イノベーションは家庭から」といった言葉もおっしゃっていました。

そして、うまくベンチャー企業が立ち上がり、成功していくための4つの要素をお話されました。

  •  優秀なアドバイザー
  • イグジットの機会
  • インキュベータ・アクセラレータ
  • 投資家

この4つである。

 優秀なアドバイザーと組む事によって、資金が集まり、パートナーシップも組んでもらえるようになるとのこと。「週4時間」だけ働く。のTim Ferrisさんを例にだしてお話されていました。

 イグジットとは、ベンチャービジネスなどで株式を売却し、利益を得る事です。こうしたベンチャー企業を買ってくれる企業の存在というのも、大きな要素の1つであるようです。イグジットを想定した経営戦略の重要性を説かれていました。早くつくって、早くイグジットしないと駄目だと(3年越えたら駄目とのこと。。確かに、Instagramは210年に登場して2012年にFacebookに買収されましたね。)。世界の吸収合併の99%がアメリカで行われているとのお話もされていました。例としてはi Phoneをだされていました。Siriや指紋認証など、買収した企業の技術ですね。日本企業はキャッシュリッチなので、こういうことをどんどん行っていくべきなのではないでしょうか。自社で投資して技術開発を行うより、素晴らしい技術をもったベンチャー企業を買収して力にかえていく。ノウハウ等、課題は多いと思いますが大手企業もこうした取り組みを今後は行っていくべきなのではないでしょうか。と考えたりもしています。

 続いて、インキュベータ・アクセラレータの存在。これはかなり大きいようです。特に、アクセラレータ。近年ではベンチャー企業立ち上げ時に必要な資金が少額であることから、インキュベーションすることでベンチャー企業の成長を加速させるアクセラレータが、特に注目されているようです。こうした人々の存在も、大きな要素の1つのようです。例として挙げていたのは、Y-combinatorというベンチャーキャピタル。6ヶ月程、集中的に指導してもらえるとのこと。講師はFacebookザッカーバーグとかだとか。ただし、投資・指導してもらうにはハーバードに入る100倍難しいとか。。

 そして最後に、投資家。有名な人といえば、アメリカにおける伝説的な投資家と言われるウォーレンバフェット氏。アニスさんが言っていたのは、エンゼル投資家である。やはり、創業間もないベンチャー企業などに投資するエンゼル投資家の存在は大きいですね。

 優秀なアドバイザリーがつき、投資家がベンチャー企業を応援し、インキュベータやアクセラレータはベンチャー企業の学校のように指導し、大企業が小さな企業をどんどん買うことによってイグジットが行われる。こうした4つの要素がそろっているからうまくサイクルが回るとのこと。全く同じではないにしろ、日本にもこうした”仕組み”づくりが必要だと感じました。(cf:つくば大学をシリコンバレーに/こうした取り組みに注目です。)


 この他、最新トレンド(モバイル・ソーシャルメディアクラウドビッグデータ等)についてお話いただきました。それらは今後機会があればお伝えしたいと思います。日本にとってのGood newsはプロダクトの強さ。Bad newsは人口の少なさ。これらを考え、日本企業は自分たちのプロダクトをもっと大きな市場(=東南アジア)を見据えてつくらなければいけない。といった類いのお話もいただきました。
 日本企業・社会が今後どういったことを行っていくべきか。そのヒントがこの講演から少し読み取れたのではないでしょうか。